入局・研修希望の方へ

教育主任からのメッセージ 百花繚乱を目指して-

皆さん、こんにちは。副診療部長兼教育主任の三村一行と申します。当科は岡秀昭先生が2017年に開設された新しい内科系診療科ですが、以下に当科の紹介をさせて頂きます。

① プライマリ・ケア能力や臨床感染症診療能力を養成

皆さんは「総合診療内科」や「感染症科」について、どのようなイメージを持っていますか?
私の場合、初期研修医から後期研修医時代に持っていたイメージは、
「総合診療内科」:某NHK番組の影響もあり、「稀な疾患」を臨床推論でかっこよく診断できる専門家
「感染症科」:HIVや輸入感染症などの特定の背景を持つ患者の感染症や病院内において感染制御を担う専門家
というものでした。

しかし、その後、日常診療では疫学的に頻度の多いcommon diseaseの患者さんが典型的もしくは非典型的なプレゼンテーションで来院することが多いこと、また多くの患者が診療場所(外来、入院、一次から三次まで)や専門領域に関係なく感染症を発症しうることを実感しました。ゆえに、総合診療内科と感染症科は臨床現場では最もニーズのある分野と言えますが、しっかりとした指導医のもとで教育トレーニングを受けた総合診療内科医や感染症科医は、他の専門領域と比較するとまだまだ少ないのが現状です。

当科では、若手医師の先生達には当院ER部門や外部の充実した教育研修機関と連携することでプライマリ・ケア能力を養成することを、そして感染症を学びたい若手から中堅医師、他領域の専門医の先生達には、岡秀昭先生のもとで世界のどこででも通用する臨床感染症能力の養成を図っています。具体的には、総合診療領域および感染症領域ともに問診によって「患者背景(患者自身の生きてきた過程や抗菌薬適正使用に必要な情報)」を把握し、問診・身体診察から「症状・所見」を正しく拾い上げ、身体のどこに問題があるのか「妥当性のある臨床推論」を行うことで根本的な「原因(病因)にアプローチ」できるようになることで、患者にとっての「最善・最適を見つける力」の養成を目標にしています。

多職種で最善・最良の患者アウトカムを出すことを目指す

一般的に、感染症科はコンサルト業務を中心に行うことが多いですが、日本の臨床現場では各々の立場(職種や職位、卒後年数など)による上下関係を重視する現状が今も見受けられます。結果として、「専門家が非専門家に指示を出す」行為が「下の立場の人間が上の立場の人間に指示を出す」行為と解釈されることがしばしば起こり、コンサルト業務が根付きにくい原因のひとつと考えます

しかし、近年は医学情報の増加および技術の進歩をきたす速度が極めて速く、一人の主治医/専門医が専門領域内における最新のエビデンスや技術を把握し、それらを実際に臨床現場で用いることによって知識を体系化し技術を身体化させることを繰り返したとしても、医学の進歩に追いつけない状況が生まれています。よって、各領域の専門医であったとしても、最新かつ必要十分な専門性を担保することが難しい時代になっているとも言えます。ゆえに、専門性を十分に担保できない領域をカバーしてくれる他領域の専門医やメディカル・スタッフたち(看護師、薬剤師、検査技師、ソーシャル・ワーカーなど)と一緒に多職種で患者ケアに対応することが益々重要になっています。

当科では感染症コンサルト業務が中心になるため、多職種で患者ケアに関わることの必要性や重要性を実感して頂けると思いますし、多職種で最善・最良の患者アウトカムを出すことを目標に診療を行っております。

「お互い様」精神の土壌

当科では質の高い診療を行うためには医局内メンバーが心身ともに健康であることが必要であるとの考えのもと、医局内での働き方改革やワーク・ライフ・バランスの充実にも積極的に取り組んでいます。例えば、当科には出産・育児中の医師がこれまでも、また現在も所属しています。人は生きているだけで程度差はありますが周りに迷惑をかけていること、自分一人の力で独立して生きているわけではないという「お互い様」精神の土壌があることも当科の特徴です。

以上が当科の特徴になります。臨床現場では、診療面、教育面ともに様々な価値観や問題点、要求や期待を持った人たちと関わることが必要です。そうした十人十色の人たちに対応するためには、私たちの組織も多彩なパーソナリティ、多様なバックグラウンドを有する人材が必要だと考えています。このような思いを足場にして、「各々が持つ多様な個性や才能が百花繚乱的に花開く」仕組みを作ることが私たちの望見される未来像です。
まだ見ぬ皆様と出会い、一緒に働ける縁があることを願っております。